インド占星術とは:占いのための占いマメ知識

インド占星術とは、インドに伝わる占星術のことです。

インド本国の他、ネパールやチベットなど周辺の地域でも盛んであり、また、後に密教の一部として中国に伝えられ、さらに平安時代には日本にも伝えられて宿曜道となりました。

インド土着の月の位置と二十七宿との位置による占星術と、 ヘレニズム時代にギリシャから伝えられた西洋占星術(曜日占いなども含む) とを二本柱とします。


■インド占星術の歴史
●インド土着の占星術
二十七宿、あるいは二十八宿によるものであり土着のものと推測されますが、記録に残る伝承が神話体のものしか存在しません。そのため、はっきりとしたことはわかりません。

中国発祥の二十八宿と似ているが、それぞれ発祥を異にするとされます。

ただし、後の時代に相互に関連していくようになります。


●ギリシャ由来の占星術
紀元後2世紀までにギリシャの占星術技法がインドに伝えられ、ギリシャの占星術技法が西暦150年にインドのサンスクリット語に散文体にまとめられました。

西暦269年にはそれが韻文化され、『ヤヴァナジャータカ』(yavanajaataka 『ギリシャ式出生占術』)という文献にまとめられました。

以後、独自の発展を遂げて現在の形のインド占星術となります。



■インド占星術の特徴
基本的には西洋占星術と同じような技法を用います。
(座標軸が異なるだけで)同じ天体を使う占いなので、豪州のSolarfire、小曽根のStargazerなどのような西洋占星術のソフトウェアでも、インド占星術のホロスコープを出す能力はあります。

特にSolarfireでは表示スタイルも同一です。

ただし、両者とも出せるのはホロスコープだけであり、その解釈について相違点も多くあります。

また、インド占星術では曜日占いなど他の要素も広範に使用する為、ホロスコープだけでは実占は難しいです。

以下に西洋占星術との相違点を中心に、インド占星術の特徴をいくつか例示します。


●ニル・アヤナ
最も重要な西洋占星術との相違点としてインド占星術では、十二宮などの占星座標は、天球上の恒星に対して固定されたいわゆるサイデリアル方式に基づくのが主流です。

このような方式をインドではニル・アヤナ (nilayana 『固定式惑星路』)と言います。

インド政府公認の座標があり、国内外の占術家の多くはそれに従っています。

ちなみに西洋占星術では、春分点を白羊座0度とするトロピカル方式を用いる占術家が圧倒的に多数派です。

インドではこの方式をサ・アヤナ (saayana 『移動式惑星路』)と言います。

ヒッパルコスが定めたものであるが、この方式では距星となる星座と占星座標とは歳差運動により年々ずれていきます。

ニル・アヤナとサ・アヤナは、インドに西洋占星術がもたらされた紀元後300年ごろは一致していたがその後差が拡大していき、21世紀初頭現在ではニル・アヤナのほうがサ・アヤナより24度ほど東にずれています。


●パンチャーンガ
インド占星術で特に重視されている要素としてパンチャーンガ (pancaaGga)があります。
これは五つ(パンチャ)の要素(アンガ)と言う意味。

・ナクシャトラ (nakSatra 『二十七宿』)

・ティティ (tithi 『朔望日』)

・ヴァーラ (vaara 『曜日』)

・ヨーガ (yoga 『和』 月と太陽の黄経を足した数値を13度1/3で割ったもの)

・カラナ (karaNa ティティを前半と後半に二等分した時間単位)

インドでは具注暦には、必ずこの五要素が記されており、これの事もパンチャーンガと呼びます。

このうち、個人の運命を見るときに主に使われるのはナクシャトラです。


●使用する占星惑星
インド占星術では、古典西洋占星術と同じく占星惑星として七曜を用います。

さらに実在しない架空の星ラーフ、ケートゥを用い、これら9つの占星惑星をナヴァ・グラハ(nava graha 九執、九曜などと漢訳される)と総称します。

ラーフ、ケートゥはともに黄道と白道の交点の事で日食と月食に関係が深い為重視されました。

後に西洋占星術に輸出され、ラーフ(羅睺)にはドラゴン・ヘッドもしくはノース・ノードという名が、ケートゥ(計都)にはドラゴン・テールもしくはサウス・ノードという名がつけられました。

伝統を重んじる立場からか、近世に発見された天王星、海王星、冥王星のいわゆるtrans-Saturnianは、一般には用いません。
同様に小惑星も無視します。


●ハーモニクスの重視
また、数学の発達したお国柄からか、調波(ハーモニクス)を重視します。

調波(ハーモニクス占星術)とは占星惑星の黄径や離角などの数値に一定の数式を当てはめて新たな占意を引き出す技法です。


●ハウス・システム
ハウス・システムは、アセンダント・ホール・サイン・ハウス(東の地平線と交わっている宮を全て第一室と見なし、順次、宮を室に当てはめていく方式)やイコールハウス(室を東の地平線と黄道の交点から30度ずつ機械的に区切っていく方式)など、簡便なものが主流。

古くは西洋占星術でもこのような方式が主流だったが、インドでは伝統を重んじる立場から、今でも主流です。


●ホロスコープ表記
ホロスコープのチャートは、17世紀までのヨーロッパの西洋占星術と同じく方形に描かれます。

また、第1室を左側に描く方式の他に上に描く方式などもあります。

個々のハウスは、正方形で描く南インド式(中国の一部の占星術と同様)と、三角形と菱形とで描く北インド式の二種類が主流。


●象意の相違
また、占星惑星の解釈にもかなりの相違点があります。

例えば、月が心の状態を示す点は共通ですが、インドでは「心の安定」、西洋では「心の不安定」を主に表します。

また土星が「制限」「支配」などの意味を持つのは共通だが、インドでは自分が支配・制限するもの(部下、奴隷など)を示すのに対し、西洋では自分を支配・制限するもの(かなり年上の上司、妻にとっての夫など)を示します。

また、ラーフとケートゥは、西洋占星術では、少なくともラーフ(ドラゴン・ヘッド)に関しては悪い意味を持たないが、インド占星術ではともに凶星とされています。






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